「うたのかべ」へのご投票、ありがとうございました!

すこし時間がかかりましたが、
「うたのかべを語ろう」での各選者賞と、
全体投票の結果&1番好きな歌にお書き添えいただいたコメントを公開いたします!

**** 「うたのかべを語ろう」選者賞 *****
各賞には賞状と選者からのスペシャルプレゼントをご用意しました。

だいたひかる賞
「じゃあ僕は新幹線で」食パンをちぎってもごもご噛むようにして(飯田和馬)

天野慶賞
君は行くそして忘れることだろうトマトのまちを恋のひとつを(猫田馨)

田中ましろ賞
点々と連なってゆく窓の灯におやすみを言ふ回送電車(にしん)

安福望賞
角という角から犬が顔を出し尾をふりかえす夕暮れがある(加子)


**** うたのかべ投票集計結果 *****
3位までのお歌には賞状と大阪らしい副賞をご用意しました。
☆は「一番好きな歌」に選ばれた票数です。
(☆の票数とコメント数が合わないのはコメント無しの票によるものです)

50票(☆1票)
ふるさとと呼べないだろうこの街は途中で辞めた部活みたいで(碧南ゆづき)
「途中で辞めた部活」という比喩がいい。甘酸っぱい青春のきらめきと、挫折体験が落とす影は、新しい生活への期待とそれが果たされなかった苦い記憶にシンクロするのだろう。(辻聡之)
40票(☆6票)
夕焼けの付箋で街を埋めつくすわたしたちには正解がない(藤本玲未)
夕焼けに染まった都市の高層ビル群を試験の参考書のページから飛び出た赤い付箋に見立て、さらに参考書のイメージから「わたしたちには正解がない 」とする流れの見事さを感じました。また、三句切れではなく、「わたしたち」が「夕焼けの付箋で街を埋めつくす」のだと読みました。参考書に付箋を貼れば知識は整理されていく(正解に近づける)けれど、高層ビル群の増殖は街を混沌とさせていく、という対比でしょうか。夕焼けのイメージ、結句の「ない」という断定もあいまって、ほのかな哀しみを感じさせます。(森下裕隆)

夕焼け色の付箋にはいくつもの言葉が書いてある。もしかして知りたくない正解もあるのかもしれない。朝焼けではなく夕焼け。陽の暮れる前に答えを出さなくてはと、いそぐせつない男女の歌。心理描写を夕景にあわせ31文字にうまくまとめた歌。(須田まどか)

繰り返し貼ったりはがしたりできる付箋で街を埋めつくす行為は、仮の解答はたくさんあっても正解はない「わたしたち」の終わらない問いかけのようです。夕焼けの付箋をはがしても夜の闇がひろがるだけで、ずっと正解にはたどり着けないのかも。(実山咲千花)

「夕焼けの付箋」にやられました。夕焼けにきらめく四角い建物や鉄塔、そして人々を思い浮かべました。それらが付箋だとしたら簡単に剥がれてしまうのかな。不穏な美しさがあります。それでもきっと明日は晴れるのでしょうね。(氷吹けい)
38票(☆7票)
ひとしきり街を壊したヒーローが後片付けもせずに飛び立つ(大木はち)
ストーリーの主役を遠くから眺めるようなシニカルな視点が好きでした。(ひつじのあゆみ)

148が一番いいわけではない!!でも選びやすくおもしろかった。(しんくわ)

巨大なヒーローが怪獣をやっつける場面で街を破壊してしまっている……のを詠んだ歌はありがちなのではないかと思ったのですが、このヒーローって「何かやらかしてもさっさと辞職して、ハイさようなら~みたいな政治家」っぽいんじゃない?って引っかかってしまいました。(わんこ山田)

片付けなさい。(龍翔)

人々の為に闘ったヒーローは、もうこれ以上ないくらいにドヤ顔で帰っていくのだけれどそれを見送る人達は手を振りつつも「あいつまたグチャグチャにしていきやがって」と(笑)その光景がやけに面白い歌だと思いました。(小坂井大輔)

絶対的正義の無さのかなしさが笑えた。(小沢ミチ)
37票(☆1票)
朝五時と二十九時とが重なって始発電車の走り出す街 (住友秀夫)

34票(☆2票)
えらばれた魚のための街としてアクアリウムに人工の夜(氷吹けい)
歌の響きも、「街」の捉え方も好きでした。(jingo)
33票(☆3票)
スクランブル交差点から見つけ出す 互いの傘を高く掲げて(原田 彩加)
鮮やかなイメージでした。(飯田和馬)

情景が鮮やかに立ち上がりました。大勢の人が行き交う中で、お互いたった一人のその相手が景色に染まることなくはっきりと明るく自分に向かってくる様子。街という言葉が、さみしく硬く響く歌が多い中でぬくもりを届けてくれる本当によい歌だと思いました。未来が楽しみ。(気球)

映画のクライマックスのシーンのようですね。お互いが見つかったら傘を投げ捨てて抱き合いましょう!強くなった雨が二人をキラキラ包みます。(臼井きらり)
32票(☆3票)
街という字には二つも土曜日があってなんだかとても楽しい(香村かな)
「なんだかとても楽しい」というくらいのゆるい楽しい発見が心地よかったです。(太田宣子)

なるほど、と納得してしまった楽しい歌でした。(矢部暁美)
31票(☆2票)
街じゅうにこだましている靴音が1オクターブ高くなり、春(小池 けいこ)
「1オクターブ高くなり」から「春」への流れが上手いと思います。春に近づくと、特に女性の靴はブーツからヒールのあるものに変わっていって、靴音も高くなるなぁと納得していましたが、それだけでなく「音」だけが人の体を離れ、空へと駆け上がっていく印象も受けました。(空木アヅ)
31票(☆3票)
橋の多い街だったこと、その橋の途中できみに手を振ったこと(久野はすみ)
シンプルだけど生活感があり、物語のつづきを想像させます(こゆり)

昔住んでいた街を思い出している、という歌だと思います。学校からの帰り道のような情景を思い浮かべました。(地元の知り合い以外だと、別れるのは駅になることが多いですよね。ということは地元の友人かなと。)一緒に歩いていた二人が橋のところで別れて、橋を渡る途中で「きみ」に手を振る。そんな日常の何てことのない場面を、不思議とずっとおぼえている、ということに共感しました。柔らかい印象の歌の中にリアリティがあり、作者の世界に入って行きやすかったです。(相田奈緒)
30票(☆1票)
知り合えば何かが変わる人たちとただすれ違う すれ違ってる(きつね)
逆説的に運命というものを感じました。こんなに多くの人がいて、短歌を詠む人がいる中で、うたのかべを介して217首もの歌を読むことが出来る不思議。まだ出逢っていない人の中に、もっと影響を与えてくれる人がいるかもしれませんが、いつか人生が交わる日があるのでしょうか。(遊糸)
29票(☆3票)
鉄塔がある街ならばそれで良い (テトラポッドがあればなお良い)(魚住蓮奈)
シンプルでわかりやすいから。飾られてないから。言い訳がましくないし、過剰な感情ものっていないから。ただ、この歌に共感する人とは気が合いそうで、なんだかわくわくしたから。(ひー)

普通に暮らす人々の街の良さと海を見たい気持ちが満たされる幸せを静かに味わいたいという気持ちが感じられる。(流留歌)
28票
口の中にちひさな街がひとつあり水を飲むたび悲劇が起こる(飯田彩乃)

 28票(☆6票)
街おこしみたいなものです一斉に電話帳から君が消えます(小坂井大輔)
街おこしを見たことはないが、見せてもらったような気になった。(鈴掛真)

意味がわからないけど選らんでみました。(いなだ豆乃助)

数ある短歌の中でもっとも、街の哲学を孕んでいる。歌意が伝わりやすく、意味を考えたときにきちんと、釈然とする。(北城椿貴)

何がと言うより、気に入りました(後谷恵梨)
26票(☆5票)
信号をいっしょに待つだけの人へ好きです好きですと言ってまわりたい(北虎叡人)
好きです好きですと言いまわりたい気持ち、言われたい気持ち、無差別な好意の発射に共感!!(奈良絵里子)

信号を待つって、みんなそれを待っているって、ドキドキしますよね、少し。(木曜何某)

たくさんの歌それぞれに違う街のイメージが浮かびますが、「街」という言葉を含んでいないのに、街とそこにいる人々を感じさせる歌だと思いました。こういう意味のない衝動はとても共感できるもので、下の句のまどろっこしさがこの意味のなさを表している気がします。(稲垣三鷹)

あかるくて底抜けで、真逆なんだけど、なぜか無差別殺傷のようで(不謹慎ですが)クレイジー具合が気になる歌でした。(沼尻つた子)
25票(☆1票)
早朝のカーブミラーに映り込む波の音のする地下駐車場(沙羅)
街のなんとなく知っているけど、具体的にはよく知らない場所への想像力が印象的な歌です。(六条くるる)
25票
ふるさとになりそこなったこの町であなたは今も暮らすのでしょう(佳乃 硝子)

25票
パパの顔している君を見たかった わざと公園前を通った(泉かなえ)

25票(☆1票)
マンホールがやけに多くてあれこれと蓋をしたがるひとのいる街(逢)
誰もが心に何かの穴を持っているような「街」の姿が浮かびました。埋めても埋めてもまだどこかで穴が空く。いつもどこかで行われている工事も心の修理のように思えてくるような、ぎゅっとする歌でした。(さとうすずすえ)
25票(☆2票)
行くことのない街の名はこんなにも美しいのだ君から聞けば(島井うみ)
リズムの美しさと「君が言う言葉はすべて美しい」と思える恋の素晴らしさ。行くことのない、というかすかな失望。心惹かれた一首です。(たえなかすず)
23票(☆8票)
僕たちがみな芽吹いたら街は森 小鳥を連れて出勤もする(平賀谷友里)
「みな芽吹いたら」のとんでもない強引さ、なのに「小鳥を連れて」と言ってしまう愛らしさにやられました。(田丸まひる)

人間が「芽吹いたら」という発想がとにかくすてきだ。造形物ばかりで緑のにおいがまったくしない「街」が一気に別世界に。芽吹いた「僕たち」が肩に「小鳥」を乗せて「出勤」する光景は、今の世界がすべて滅んだあとの楽園のよう。(嶋田さくらこ)

なんて楽しい発想だろうと思いました。街の使い方も必然的で好感を持ちました。(福島多喜)

発想がおもしろいです。芽吹いた緑のヒトがわさわさ歩いているような、のどかなイメージが浮かびました。人間も芽吹いて光合成するいきものだったら、今よりも森や小鳥に優しい世界になるのでしょうか。(リオ)
22票(☆1票)
真夜中の電話はいつも唐突で「あなたの街も星は眠るの?」(こころ)
何かもうわからんけど好き!!(匿名)
22票(☆5票)
街じゅうのトイレットペーパー三角に折りたたもうぜ引っ越しの夜(奈良絵里子)
引っ越しの夜にしたくなるのがわかる(匿名)

トイレットペーパーを三角に折るという紳士的行為(笑)はとても都会的いたずらだと思います。ものを壊すでもなくありったけのトイレットペーパーを三角にしてこの街を出て行ってほしい。すがすがしい歌だと思いました。(やじこ)

なんでそんなことする…おもしろおかしい。けど、そんなバカげたことをしなきゃやってられないさみしさや切なさのようなものも伝わってきて。(藤田美香)
22票(☆3票)
「この街はたまにうどんが降ります」ではじまる手紙 葱が切れない(笹谷香菜)
あまり意味はわからないが前半と後半のとり合わせがすごい気がする。(あみー)

とてもほのぼのとした手紙。どんな内容なのか続きが気になります。笑ってしまって、台所で葱を切り損ねている様子が容易に想像できます。この少しの文字数で、日常の一場面が切り取られている様が表現されているところにとても共感をもちました。(知己凛)

地面を掘ったらおあげさんが出てくるよ(檀可南子)
21票(☆1票)
ずるずると昼をつづける夏の街の責任者ではない人の群れ(中牧正太)
顔がぼやけた人の群れの絵が浮かびました。主体は責任者の立場にありうらめしく眺めているのか、または主体も群れと同等で、そんな自分をこれでいいのかと問うているのか。ふと「私はどうだろう」と足をとめてしまう一首でした。(クニコ)
21票(☆1票)
鳥たちが街から海へ発つときの約束をいまぼくらもしよう(木村比呂)
どんな約束をするんでしょう。街から海へ渡る鳥なら来年もまた会える気がします。でもなんとなく守られないような別れの悲しさを感じます。旅立ちの希望と別れの悲しさがさわやかに読み込まれています。(南瑠夏)
21票(☆2票)
点々と連なってゆく窓の灯におやすみを言ふ回送電車(にしん)
街にある生活と、その生活の中心にある(だろう)電車が一日の仕事を終えていく情景が思い浮かびました。(福山桃歌)

たくさんの「街」を形成するものから「回送電車」を選択したその着眼点がまず素敵でした。満員電車だったり普通電車では乗客を乗せて走っているので周囲に挨拶をするような余裕もないはず。一方、街は街で、夜深くなると灯りが減ってくる。だからこそある程度の速度で走りながらもおやすみが言える。走る回送電車と、その時間帯の街の様子と関係性が優しく伝わってきました。(田中ましろ)
19票(☆1票)
あなたには日常である道頓堀(とんぼり)のグリコの人に一礼をする(紺野ちあき)

19票(☆2票)
角という角から犬が顔を出し尾をふりかえす夕暮れがある(加子)
最初は犬の散歩の風景だと思っていたけれど、まだのら犬がごろごろいた昔の幸せだった頃の歌のように思いました。犬と夕暮れがよかったです。(安福望)

ユーモラスでかわいらしい情景ですが、夕景であることによる暗さがこの歌の世界の深みを生んでいるのではないでしょうか。(ユキノ進)
19票
押し寿司をひったくられてたこ焼きをひき逃げされるまでが名物(蓮沼美瑠)

18票(☆1票)
9時5時で住宅街をさまよって円広志とすれ違いたい(森下裕隆)
うちの愛する関西ローカル番組「よ~いドン!」やな。せっかく円広志と会えたのにすれ違うだけやなんて!普通の関西人やったらそんな贅沢なことでけへん!(じゃこ)
18票
空を飛びたいひとが集まる街のひとの背中を押す係です。(御子柴楓子)

18票(☆1票)
潮風に帰りの切符は飛ばされて(ありがとう)ここの人になるんだ(西村湯呑)
ショートショートのような、意外性のある展開。(ありがとう)が巧い。(秋月祐一)
17票(☆1票)
きみを待つことにもなれて街灯のように日暮れをぼんやりと待つ(琴平葉一)
待つことが悲しみからだんだん諦めに変わって今はもう街灯が日暮れを待つようにあたりまえになってしまった…そんな感情を淡々とうまく表した歌だと思いました。街灯のようにぼんやり、という表現がとても好きです。(香村かな)
17票(☆2票)
〈閉店のお知らせ〉の紙ひらりまたきみの思い出が閉ざされてゆく(辻聡之)
自分にとっての「街」はこういう場所だな、と思いました。(月丘ナイル)
17票(☆3票)
子よ伸びよ 学生街の定食屋みたいに母はなりたいのです(猫丘ひこ乃)
よくある子育てとか、子への愛の短歌と思ったら作者自身のちょっと変な願望が描かれていて笑ってしまった。あっけらかんとした素敵な歌でした。(木村比呂)

学生街の定食屋、お金のない学生にお腹一杯ごはんを食べさせて、みんなに「母さん」と呼ばれて悩みを聞いたりして。しかし「定食屋になりたい」じゃなくて「みたいになりたい」ってなんだろう。息子がご飯を食べている姿を見ながらの独白だろうか。息子とそんな関係になりたい、という。あたたかい歌のようでいて、本来は定食屋のおばちゃんが「母親みたい」なのだが、ここではそれが逆転して母親が「定食屋みたい」になりたいという面白さがある。(泳二)

学生街ではないですが、昔お世話になった食堂のおばちゃんのことを思い出しました。読者ではなく読者が見ていたものにリンクさせているのが共感のポイントだと思いました。(牛隆佑)
16票(☆2票)
臍のない生き物になる気がしてる空を渡って知らない街へ(日高香織)
上の句の喩えに、思わず「この表現だ!」と思いました。探し続けていた言葉なのかも。(小春まりか)

臍のない生き物といっても様々ですが、身体の中心といわれる臍をなくしてしまったら不安な気持ちになりそうです。空を渡った先には新しい暮らしが待っているのでしょうか。知らない街へ行く人の心もとなさだけでなく、生まれ変わるような気分も感じられるところが良いですね。(高松紗都子)
16票
ふるさとの言葉をひとつまたひとつ忘れてしまう深夜の新宿(さや)

16票(☆2票)
ベランダにしゃがんでじっと外を見る今日からここがわたしの街だ(森山 真希)
地方から都会に引っ越してきたところ。これからひとり暮らしを始めようという第一日目のことを思い起こして詠んだ歌でしょう。ベランダから街の景色が一望できているようなので三階以上の部屋か高台にあるアパートと思われます。夕陽に染まった街並みが見えてくるようです。「しゃがんで」という具体が「わたしの街だ」という有り体な物言いを補強してこれからひとりで暮らしていくことの希望と不安を感じさせてくれます。難しい言葉をひとつも使わないでこれだけの抒情を感じさせてくれるのはすごいと思いました。(鈴木麦太朗)

なんでもない言葉の連なりの中にこれからの不安と意志が浮かび上がるようで好きでした。いい歌うまい歌は他にもあったけれど、好きなのはこの歌です。(ケイ)
16票
終電の窓に裸眼をあててみてご覧、金平糖の街だよ(伊豆みつ)

16票
この街はしずかな器 あのひとの言葉がすべて乱反射する(田丸まひる)

16票
住みぬいてやろうと決めてできたての黒いアスファルトを踏んでいる(ろくもじ)

16票(☆3票)
薄荷糖ひとつかじって街へゆくいもうとよ さあ、迷っておいで(有村桔梗)
薄荷糖のさわやかさと、結句のやわらかな突き離し方が印象的。「いもうと」が街へゆくのはきっとこれが初めてなのでしょう。見守る優しさが垣間見える一首だと思いました。(木野葛紗)

ハッカ飴は妹にとって勇気の証として作用しているのでしょう。けれどその程度ではまだまだ幼い彼女は街に迷ってしまうわけです。迷うことも、ささいなことで勇気をつけようとすることもまとめて見守っている主体の視点のやさしさがよいです。(虫武一俊)

私の姉と私の関係に少し似てるなと思い選びました。薄荷糖をかじって街へゆく妹、たぶん心細かったりするのでしょう。薄荷糖で不安を紛らわしてるのではないかしら。この妹の心情すごくわかります。そして「さあ、迷っておいで」がすごく好きです!優しく見守るお姉ちゃん(お兄ちゃんかもしれない)が思い浮かびました。(こころ)
16票(☆3票)
私とはどこまでなのか風の街ひとりひとりをすり抜けながら(風野瑞人)
街を詠みながらも居場所の無い様な気持ちを感じた。(はるみ奏)

雑踏の中の自分を考えさせられました。となりの人とのキョリで自分をはかる。そうなんだと気付かされた歌です。(螢子)

「私とはどこまでなのか」というフレーズがいいなと思いました。私も最近、「私を必要としてくれる人はこの街にどれだけいるのだろう」「そもそもこの街にとって私もその他大勢も同じなのではないのかな」と考えてしまうので。(逢)
16票
風のなか 今日も誰かのふるさとに繋がっている電話ボックス(空木アヅ)

15票(☆2票)
街灯が雨をひかりに変えるからそのまま明日へ行ける気がした(高松紗都子)
雨をひかりに変えるという発想にはっとさせられました。たくさんのひかりが降り注ぎ、そのまま飛んでいけそうな感覚を呼び起こす素敵な歌だと思います。(こはぎ)
15票(☆2票)
この街で俺のちんこの直径を知っているのはただひとりだけ(価格未定)
究極!こんな歌よこされたら、絶対にきゅんとしちゃう。(うらら)
15票(☆2票)
土砂降りの街へくり出すやくざ猫・盗賊かもめ・刺青金魚(鈴木加成太)
威勢の良さが大阪っぽくて惹かれました。後半の生き物たちに付けた言葉も、俗っぽくなるすれすれでポエジーを保っています。漢字とひらがなのバランスにも技あり。(久野はすみ)

土砂降りの街へ繰り出さずにはいられない荒んださまにインパクトがありました。ねこ、かもめ、金魚の選択も、地上、空、水中とカテゴリーが違うところも細かく考えていらっしゃる。下の句の四音三音四音三音の単調なリズムがこの歌の雰囲気を盛り上げていると思います。特に盗賊かもめ、刺青金魚という詩的な表現に悲しみを感じました。(ゆき)
14票
嘘っぽい光の一部になりに行く 新宿駅のドン・キホーテへ(里見てふ)

14票
「変質者」 「盗撮」 「注意」 五段ごと警句詰めこむエスカレーター(綿菓子)

14票(☆1票)
ビル群の谷間で低く呟くは水の清さを讃えた校歌(門脇篤史)
ドーナツ化で生徒数の減ってしまった大都会の小学校を詠んだ、他の歌にない視点で現代の「街」を切り取った、「街」というテーマの活かされたいい歌だと思いました。(住友秀夫)
14票
クリームの陽のあたる街ここに住む誰もが泣いたことのある人(工藤吉生)

14票(☆3票)
かなしみのかたちに街はあかるくてならんだ僕らは眠れずにいる(天国ななお)
都会のまぶしさとせつなさと悲しさがひとつの歌にまじりあって、心にひびきました。ストレートに表現されています。(吉田豊子)

言い回しに何一つ特徴的なこともないんですが、どこか心に引っかかるものがありました。自分の頭のなかでは、駅のホームに立ってただネオンの海を見つめているばかりでどうしようもない、そんな光景が見たときから浮かんでいました。自分もそうだからかもしれません。それだけです。(風橋 平)
14票(☆1票)
結婚のように合併した街をつつむ金婚式の夕映え(沼尻つた子)
やはり、金婚式という言葉で夕映えの光り輝くさまが表現されていたのが美しいと思いました。金婚式という言葉が出てくるので、上句の「結婚のように」という言葉はほかの言葉に換えられるのかなとは思いましたが、街というテーマで合併についての歌をつくるのはありそうでなかったですし、自分で実際に考えてみると案外難しかったので、きちんとまとめていらっしゃっていたこの歌を一番に選ばせていただきました。(千代川下流)
14票(☆1票)
この街にしまむらはないユニクロもないばあちゃんの下着屋がある(葛紗)
あたたかみがあって好きです。おばあちゃんにはいつまでもお店を開けててほしい。(いさご)
13票
出来立ての高層ビルを見上げてる人の中にはウォーリーがいる(海)

13票(☆1票)
雨あがりショーウィンドウにすれ違う人の肘から夏が始まる(中村成志)
「人の肘から夏が始まる」がとても新鮮に響きました。雨あがりのまちがきらきらして、まだ日に焼けてない白い肘がショーウインドウから浮き出るように写っている。ショーウインドウのマネキンが着ているのは水着でしょうか。そんな想像も湧いてきて、梅雨明け間近、夏への期待感がわくわく伝わります。(ルイド リツコ)
13票(☆1票)
もう少し君と並んでいたくって出てない虹を指さしている(篠原謙斗)

13票(☆1票)
街角でティッシュを配るあの人を振り向かせたい八往復目(宇野なずき)
八往復も同じ所を通るところを想像するとかわいらしいと思いました。どんなんなのか、どんな気持ちなのか、色々なパターンが想像できて楽しいです。(匿名)
13票(☆4票)
いままさにわたしの前と後ろから差し込まれている定期券たち(さまよいくらげ)
改札口をとおる瞬間をとどめた「街」ならではの風景だとおもいました。「わたし」が「定期券」になってしまったかのような錯覚をおぼえます。シュパーンシュパーンという改札の音もきこえてくるようでした。(月下  桜)

これ、一瞬どきっとして、そのあとものすごくさみしくなりました。ラッシュアワーの慌ただしさがうまく表現されていて、そしてそれぞれ誰もが同じ時間を共有しながらも、各々の定期券をつかっているというところに、ひどい孤独を感じました。立ち止まることができない、あのスペース。日常のエアポケットみたいな場所をよく捉えたなあと感心するばかりです。(魚住蓮奈)

臨場感?都会の慌ただしさが感じられる。好きです。(三好則秋)

ラッシュ時の自動改札を指して街を表す、その切り口が鮮やかでした。(山西木々)
13票
今もある小野商店の水まんじゅう裸足の夏がぷるんと跳ねる(ちゃむ)

13票
この街の夏の夜明けの道端に倒れる明智光秀(本人)(しんくわ)

13票(☆2票)
がい灯のはなつ光に日どけいはあらぬじこくをさし示すなり(森本頌)
常識も揺らぐ様な夜の街の不安な気持ちを感じました。情景描写だけでそう思わせるところが素晴らしいです。(紫陽花)
12票
何もない街だよほんと何一つないよ捨ててくものなどないよ(はらだ)

12票
もう夏か ここでの時間がひとつ増えあなたの歳を追い越していた(麦野結香)

12票
トラックはあまたの会話吸い込んで次の街へと音をつないだ(田中ましろ)

12票(☆2票)
雨だよと言えばこっちは雪だよと彼方の街であなたは言うの(はるごろう)
遠い二人のやりとりの切なさ。これにひきつけられました。(トーヤ)

南北に細長い日本ならではの実感がある。日本でない場合には、北半球と南半球との違いなど、地球規模のスケールをそなえた短歌となる。(雨宮 司(あめみや つかさ))
12票
海のものと山のものを食べなさい いいえ私は街のものが好き(藤 明日香)

12票(☆1票)
コンビニの袋のなかにおさまった風を携え街を出る朝(ガッキ)

11票(☆1票)
マンションのベランダ越しにハイウェイの灯り拭く人におやすみを言う(みなま)
ハイウェイの灯りを拭く、という表現が好きです。都会の街に住む人ならではだと思いました。(佐倉まり子)
11票
かきまはす舌のしやうだう街路樹がそれ以上根を伸ばせぬやうに(福島多喜)

11票
この街を暮らしを人を忘れてもあなたが笑顔ならそれでいい(光永由美)

11票
果糖ぶどう糖液糖の雨が降りベタベタベタベタクシーを呼ぶ(木曜何某)

10票(☆1票)
体内の四つの街がざわめいて迷子になってしまう質問(リオ)

10票(☆1票)
閑静な住宅街で白昼に起きたドードー誘拐事件(泳二)
ジメジメした作品の多い中でユーモラスでもありおもしろみもあり。もっと読みたいと思った。(匿名)
10票(☆1票)
ああ街の風に吹かれてパンツさえパンティーとなり飛んでゆくのさ(じゃこ)
パンツ「さえ」でパンツがパンティーからぎりぎりまで遠くなって、パンツよりも何がパンティーに近いか思うとたのしい(匿名)
10票
恋人と出逢った場所をクリックしグーグルアースで逢い引きをする(北城椿貴)

10票(☆1票)
あの人に会わないだろうけどヒールまで血が通いだす柏駅(佐倉まり子)
たぶん会わないのに、会える可能性がほんの少しでもあるだけでこの昂揚感。いいですねー恋ですねー。「会えるかもしれない」などとするとつまらない歌になってしまうところを、見事にひねってインパクトを生み出していると思います。「ヒールまで血が通いだす」の程よい大げさ感もいいし、「柏駅」という具体もすばらしい。地方都市のさほど大きくなさそうな駅だから、会えそうな予感に無理がなく、リアリティを増しています。(西村湯呑)
10票(☆3票)
この街にいないあなたが誰よりもわたしの傍にいてくれること(月夜野みかん)
シンプルなうたなだけにすっと内容が伝わってきました。「街」としての明るくて暗い側面を捉えている、いいうただと思いました。(琴平葉一)

人の生きていく支えになるのは、必ずしも現在日常接する人やものだけではなくて、思い出の中の人や、ずっと前に読んだ本だったりします。そんなことを思い起こされました。(瀬戸さやか)
10票
「狼が来たぞ」と叫ぶ人々が肩を寄せ合う街で生きていく(chari)

10票(☆1票)
この街で出会った人が今日死んだ 喫茶モナミが通夜の会場(真夜中)
のっぺりとした歌が多い中でドラマチックに心に響いた。「喫茶モナミ」というのが効いていて「モナミ」はフランス語で友達の意味であったと思う。通夜の場所になった経緯はわからないけどそこに集まる人たちの関係性や生き様がいろいろ想像をかきたてて人の匂いや体温が伝わるよい歌と思う。(猫丘ひこ乃)
10票
バスガイドの説明なくてそれなりの街おわらせる坂道のぼる(はだし)

10票(☆1票)
Amazonのショッピングカート静々と奔る夜更けの街を見ている(相田奈緒)
Amazonのショッピングカート、というあれが、街を静かに奔っている。誰もいない街と、インターネット上で行われている買い物。現代を不思議な切り口で捉えた歌。奔る、という感じの選び方も激しさがあって、静かな街との対比があっていいと思います。(原田彩加)
9票
もうずっと空とか見てないと思う地下街に似た明るさの中(穂崎円)

9票
煙草屋の娘に恋する街角を探すジャスコの床は果てない(四流色夜空)

9票
君は行くそして忘れることだろうトマトのまちを恋のひとつを(猫田馨)

9票
歩こうか 良くないことも悪くないことも紛れる夜の街角(嶋田さくらこ)

9票(☆1票)
後ろ姿がつめたくて鍵をするきみがいたから好きだった街(加納舞子)
ドラマのワンシーンのようなお歌で目に止まりました。好きだったきみがいなければ街を好きでいる理由もなくなるから鍵をする。このお歌の世界の主人公が背中をドアに預けて泣いている姿が見えました。(七波)
9票
足のうらぜんぶをつけて歩いてる 人口密度ふやける場所で(いさご)

9票
どうしても手の届かないものがあり大阪の空はおそらく青い(御糸さち)

9票(☆2票)
僕にだけ聞こえる音で口笛をたのしむライブ帰りの道で(岡野大嗣)
僕のことが書かれているな、と思いました。(木下龍也)
8票
幸せを掴みそこねて新しい街で一から修行中です (ひな)

8票
ビル街を抜け出すように駆け上がるエレベーターで君と目が合う(鈴木晴香)

8票
酔うたふりに生まれし街を語るとききみの手首の川のにほひす(太田宣子)

8票
人生のキャストは変わる 変わらない舞台は風が歌うこの街(ヒロマル)

8票
街路樹の陰から不意に飛んでくる爆弾の確実な避け方(あみー)

8票
買いたての爪楊枝カップにつまようじ入れるかのよう8時の梅田(小沢 ミチ)

8票(☆2票)
この街はきっと優しい街だろう あなたを育ててくれた街だから(檀可南子)
地元の友達や大切な人のことを思い出した。(匿名)

ものすごく自分勝手な解釈なんですが、あなたの部分を‘私’と置き換えて読みました。僕は故郷から、と言うより育った家を捨てるようにして関西に出てきた人間でして、だからこそ望郷と言うのか故郷への想いがものすごく強いんです。うーん僕が優しいかといわれたらそんな事は決してないんですけどもね、でもこの歌にはグサッと刺されました。(福島直広)
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夕闇の雄々しい歩道橋を行くおれはこの街を生きていきたい(虫武一俊)
厳しい時代のなかでこのたくましさ、大精神力、大切と思う。(日比野美鈴)
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君はもうここへ帰ってこないから僕は笑って暮らすしかない(山本左足)

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この街が世界のすべて出ていった背中をわすれ咲く立葵(藤野唯)

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千切りもできない奴が街中を歩いているぞ恥ずかしげなく(アキヒニ)

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噴水のしぶきで濡れていることを教えてくれたカップルのひと(二葉吾郎)
濡れていることに気づかない(気づけない)作中主体の孤独と、「カップルのひと」との対比。じわじわとせつない、街の風景の1コマという感じ。(松本てふこ)
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サイレンが響き渡れば飼い犬があちらこちらで交わす遠吠え(橘高なつめ)

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学生の君が過ごした古都をゆく赤い電車に並んで映る(気球)

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沈む街を出る理由(わけ)として神様におつかいを頼まれたと言おう(ショージサキ)

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言いたくて言えないことが多すぎて街から見える海を見せてた(くまさん)
下句にまず惹かれました。その理由を考えてみます。上句「言いたくて言えないことが多すぎて」だけ考えると[言う][て]のリフレインが過ぎるのですが、それが下句「街から見える海を見せてた」の微妙なリフレインを有効にしていると感じます。韻律的にも、下句で(比較的)伸びる印象を与えられ内容にも合っており、良いですね。全体的にもう少し手の加える余地のある印象ですが、その拙さ(不器用さ?)が歌の雰囲気をつくることに成功していました。(北虎叡人)
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この街は君と僕との秘密基地責める家族も仲間も居ない (矢部暁美)

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公園のような商店街となり僕には通過するだけの場所(宮嶋いつく)

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鳩のうしろ好んで歩く食べるより美味しいうどんのにおいを吸って(とびやま)

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夕暮れの街の灯りだ やがて来る夜にはきっと役立つわたし(蜂谷駄々)

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苺ジャムきらら満月またきららあなたのいないこの街きらら(たえなかすず)
こんな擬音の使い方はじめて見ました。(鈴木加成太)
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iPhoneの保護シール薄くひからせて ここはどうぶつたちの放課後(しろいろ)

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この街の一羽一羽に届けよう住鳥税の督促状を(木下龍也)

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何の気もなしに入ったカフェの中にてこの街のハイライトを見る(七波)

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「この街に野生の言葉はありますか」勇者のペンがドクリと光る(遊糸)

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まっすぐに街へと注ぐおひさまのひかりみたいに君と会いたい(文月郁葉)

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眼(まな)ふかく傘をさしたる人のあり夜のひかりを逃るるやうに(紫苑)

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心臓を下に眠れば拍動は 街を覆いて 夜に果てなく (悠野々もん)

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自分より背の高いものばかりある街に刺繍をほどこすように(百田きりん)

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街灯が消えるのを見に出かけよう街より星より早起きをして(牛尾響)

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アイラブユーを届けにきました 東京になりゆくきみもきれいだね(ムラサキセロリ)

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この壁に描かれている街を行くひとの中にも街はあります(実山咲千花)

6票(☆1票)
知らない街の知らない駅の路線図に知らない人の故郷を思う(ななみーぬ)
とても共感できる歌だと思いました。読み方も分からない駅名が特別に思えたりしますよね。(田邊葉月)
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草原に降り立ち君は駅になるいつか明らむ町が広がる(牛隆佑)
その想像力にはっとさせられました。(新妻奏一郎)
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いつまでも引きずつてゐる彼のためこの辺みんなピンクにしよう(いなだ豆乃助)

6票(☆1票)
フランスパンをにぎりしめ せいじかせんせいなぐりてえ いっぱつ!にはつ!(ふえちしずえ)
僕は満員電車で足を踏んでいった奴をなぐりてえ。(綱本武雄)
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三日目はまだ知らぬ街わき道はまだ私にはただ薄暗い(クニコ)

6票
待ち合わせした頃あんなに煌めいた私の渋谷は消えてしまった(倉野いち)

6票
気おくれを伴いながら歩いても誰もわたしを見ていない街(鈴木麦太朗)

6票(☆1票)
不確かなもので溢れるこの街で君を愛することが正解(九条はじめ)
確かで、安心出来る事など何処にも見あたらないでしょう。ただ、「君を愛すること」だけは、確かな事なのでしょう。(朝倉 敏郎)
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みずたまりに映るビル群吹き抜けた風にゆるゆる増殖をする(螢子)

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泣きじゃくる子と寂しさと不安抱き母は無音の街を見つめる (紫陽花)

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虎柄の服を好んで着るようなそういう街に生まれ育った(まひろ)

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街灯があるのに君の表情がわからなくって夜はけだるい(りりー)

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地図にない雨ばかり降る街にいてお日様だけを想って暮らす(姉野もね)

5票
うなだれた街灯ごとにひとりずつ魔法を待ってるひとの夕暮れ(ニキタ・フユ)

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こんなにも横断歩道は短くて長くさせてた十五の心(ふるふる)

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笑顔しか見せないきみは街灯のひかりが青いまちに住んでる(龍翔)

5票(☆1票)
グローバルスタンダードというやつに壊されていく街は鮮やか(六条くるる)
(悪い意味)で均質化していく街の様子をストレートに詠まれているところにひかれました。(桶田沙美)
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地下鉄を上がると君のパスタ屋で仕事終わりを待ってたベンチ(山西木々)

5票
街へゆき町へとかえる灼きたてのあの子の肩を背もたれが抱く(小向大也)

5票(☆1票)
カルピスが甘く優しく降る街で虹の絵を売る君に出会った(流留歌)
透明な優しさがある。短歌のメルヘン。(関谷育夫)
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夜行バス目覚めたここは西の街はじめましてと声かけて立つ(といじま)

5票
瞬きのたびに僕らがこの街に拡がつてゆくやうに、ゆふぐれ(濱松哲朗)

5票
この街で暮らすと決めた海の音きこえる君を育てた街で(ゆき)

5票
俺の手に「中古 二万」と書いた奴ばかりをかわしゆくストリート(風橋 平)

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「じゃあ僕は新幹線で」食パンをちぎってもごもご噛むようにして(飯田和馬)

4票
下の名で初めて呼ばれたこの街はちっこい太陽が眩しすぎる(高田ほのか)

4票
近隣の花火大会めぐってるどの街いっても青く染まる舌(糸憂)

4票
見開きの半分以下の地図上にふたりの家をひとりでさがす(津野桂)

4票(☆1票)
田んぼからのぬるい土のにおいまでキャリーの隙間にいれて連れてく(村上永華)
キャリーケースをあけると、それまでいた土地の匂いが染みついて、一緒に連れてきたような気分になることが私もあります。その匂いも一緒に連れて行きたいと思う気持ちが、とても共感しました。土のにおい=ぬるいというところも好きですし、きっとこの人はそんなぬるいにおいのしない、街に住んでいるからこそ、それを感じるのだろうと想像が膨らみました。(さや)
4票
雨もまたこの都市の一部やがて去って行くわたしは束の間のピース(キョースケ)

4票
街角の理髪店には本当の覚悟の笑みを知る人がいて(トーヤ)

4票
流星のやまない街で人びとは何に願いを込めるのだろう(星乃咲月)

4票
地縁なく血縁も切れ書割になってもここで生きてるは何故(宮木水葉)

4票
わり切ればなんてことない新道は左右対称に街路樹のあり(彩雲ゆり子)

4票
背を丸め歩くあなたを見失う おわりのきざし信号は赤(須田まどか)

4票
今夜にもガス灯掛りが死んだらしい深海魚の影あめつちに満つ(正井)

3票(☆1票)
手に小銭遊ばせながらゆく街の花火浴衣着熱さめやらず(紀水章生)
子供の頃に「一人五百円までだからね」と母に貰った小銭五枚を思い出しました。祭りの熱気は目から耳から染み込んで、握りしめた小銭から、祭りを作る、例えば屋台のおじさんの元へ還って行くのですね。(さと)
3票
通ぶって「けつねうろん」と呼ぶことも 畳みたいな揚げ食べてみ(たかだ牛道)

3票
ボストンにあふれる想い詰め込んで君に会うため夜を旅する(なるなる)

3票
台湾の街の空気は赤い花巻き込み抜けるバイクの道を(にのみや)

3票
この街にただ受け止めて欲しかった夢や憧れなんて無かった(福島直広)

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ゆらゆらと 水面に映る ネオン街 こちらのほうが リアルなのかも(ゆみづき)

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この街を出ていきたくてだらしない愛あるようなダンス終わらず(とみいえひろこ)
この街を出て行きたいけれど出ていけなくて、相聞対象とのだらしない愛を続けているというように読みました。タ行とア音の多い「だらしない愛あるようなダンス」というフレーズがかっこよくていいなと思いました。(牛尾響)

だらしない愛あるようなダンス終わらずというところが生きていることそのもののようでとても好きでした。(野比益多(日高香織))
3票
街明かり一つ消えれば星の字のある駅に立つ星野駅員(砂山ふらり)

3票
ゆめで見た傷は確かに遺されてあなたの街に戻れなくなる(月丘ナイル)

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きみの住む街は遠くて虹を待つ心のなかを蛍が泳ぐ(日比野美鈴)

3票
バスに揺られ最寄りの駅に着いていざデパートに向かう その中が街(瀬戸さやか)

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ゆめが街まちが夢生む淡いにてわれ一本の羽根を回せり(枚方歌磨呂)

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このなかの 灯りひとつにきみがいる 宙(そら)からの道 早く帰ろう(睦月瑛介)

3票
求人誌食べものファッション生も死も世界はみんな私のおもちゃ(鈴木帽子)

3票
突き放してるようで受け入れてくれている 星なんかよりずっと近くで(麦野あき)

3票
大それたことです耳にピアス5個あけて やさしい街は知らんぷり(やじこ)

3票
ひび割れたコンクリートに咲く花のハミングと少しにがい祈りと(ユキノ進)

3票
city free wi-fi 覚めて見る夢がTwitterから飛ぶそのせつな(へそ)

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灰色のビルさえひかるあざやかに駆け寄るひとを待つ十五分(こはぎ)

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ひとびとの記憶や熱を糧にして繁茂してゆく建築の森(新妻奏一郎)

3票(☆1票)
西日射しこのまま消滅する我をみる人のなく街も消えたり(月下  桜)
夕方は人の時間からもののけの時間に切り替わるとき。西日に連れていかれるように主体も街も消えるのかな、と思いました。西というのも西方浄土の方角なので怖い。この「消滅」は神隠しみたいな死なのかなあ。強い光に所在ない気持ちになっている感じ??不気味できれいで好きなお歌です。(伊豆みつ)
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自転車を乗り回していたあの街がくすみかけつつ目の前にあり(ささ)

3票
足音も聞こえなくなる裏道で立て看板は無限に灯る(又来修)

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摩天楼聳える下に屋台あり資本主義を濃縮した香港(まち)(桶田 沙美)

街の灯が明るい夜の道すがらは擦れ違うのがやたら楽しい(たた(三潴忠典))

あの夜の街灯がもし青ければ始まらなかった悲しい恋は(ルイド リツコ)

会いたくてでも会えなくて君の名の表札探し日の沈む街(牟礼鯨)

流れては重なっていく偶然が宇宙のごとき混色をなす(麻倉ゆえ)

街中が青の洞窟になる 二度とリアリストの君には出会えない(こゆり)

俯いて待ち人探す街の隅 溢れる人の中ひとりきり(福山桃歌)

(☆1票)
五秒前に流した涙は何なのかもはや忘れろあかるき街へ(松木 秀)
この春、田舎から本州に渡ってきました。都会はびっくりするほど時間の流れが早くて、私一人取り残されていくような感覚があったのですが、そんな憂いている時間も、この明るい街で楽しい時間に変えていけるようこれからもっと頑張っていこうと思えた歌でした。(堤友紀子)

この町は流行りのもんが何もない商店街のある町やから(のの)

人の群れざわつく景色をはねのけて君とふたりで星を紡ごう(花帆)

街なんて遠い場所だと思ってたあなたと二人笑いあうまで(さと)

この区だけ地下鉄がないラブホテル以外のホテル、警察署もない(伊呂波余人)

残業と夕餉(ゆうげ)と蛍 散らばった闇を見下ろし抱きあう 君と(桜葉明美)

サンクスのガラスにふわりとまる蝶北御堂の鐘にふわりとびさる(藤田晋一)

私の 寝ぼけ眼に 流れる水は 貴方の肩を 濡らすのかしらん(しゅーくん)

イメージで言うなら街と町の間ゆるキャラ元トップとシャッター街(小春まりか)

地下鉄の出口は狭し飛び出でてゆけよ銀座はきらりと明るき(千代川下流)

溢れかえるゴミ箱もこの街として数えればここは衛星都市(稲垣三鷹)

夜ソレは道路を這って人々の酔いをさますの「気をつけてね」と(紫都音)

路地裏に転がる空き缶追いかけてここはどこだろねずみの国か(能登たわし)

喧騒に我が名叫べど誰知らず されどわたしもここに生きてる(まみ)

ハナミズキ通りひろびろと開通しピンポンダッシュの標的は風に(わんこ山田)

タワーから街並みぜんぶ見渡して宇宙から見た僕なんて塵(藤田美香)

(☆1票)
漆黒の舞台に凛と張る唄は極限までふりしぼる「街」(才(さい))

唯一の抵抗だった凹ませた学生カバン泳がせ街へ(窪田圭)

観覧車回れよ回れあの日見た港に浮かぶ私の半身(南瑠夏)

忘れない僕とあの子を包み込む鉛色した街の青空(桜庭歌夢)

街路樹の下の人みな一斉に羽ばたく梢の空を見上げる(西の丸ヒガシマル)

ぎらぎらとネオンに埋もれる夜の街すこし寂しいから歩こうか(雨宮 司)

交わらない 「何も無い」の意 人の住む 土地は街しか 知らぬ君(高橋祐子)

人待ちに侘びて見上げし銀幕の大関張り手喰らい膝折る(少年乃慾望はつねに心澄むゆゑに惡念なくて)

雨上がり澄んだ光は彩られ街に微笑み秘む物語(知己凛)

人知れず雷雲が近づいて浪花の街を覆い尽くさん(村田馨)

玄関を開けた途端の蝉しぐれ繁らせられた街へ飛び込む(さとうすずすえ)

この街でいつかの君が爪弾いたギターに揺れる夕陽と出会う(阿南周平)


以上、217首。
本当にたくさんのご参加、ありがとうございました!!